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特別対談

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日蝕えつきる

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〈対談〉花村萬月・尾崎世界観(クリープハイプ)
「暴力と性と絶望と——虚構と」





クリープハイプのヴォーカル&ギターの尾崎世界観さんは、2016年『祐介』で作家デビューされました。
作家として大きな影響を受けたのが、10代の頃から読んでいた花村萬月さんの小説だといいます。
「花村さんとお話をしてみたい」という尾崎さんの希望で、本対談が実現しました。
飾らない言葉で語るうちに、話題はどんどん深い方向へ。
暴力のこと、セックスのこと、絶望のこと、そして何より小説という大いなる虚構を作るということ——。



◇引き算の描写

花村 『祐介』読んだ。ほんとに初めて書いた小説なの?

尾崎 はい、そうです。原稿用紙2枚分ぐらいのちょっとした文章は書いていたんですけど、長いのは初めてでした。

花村 いや、正直、驚いた。ちょっとなめてたな。俺も意地が悪いから、最初読むときは文学界新人賞の選考みたいな調子で読んでくわけよ。確かに、はじめは新人賞に応募してくる原稿に近いにおいを感じたけどね。ただ、「つけっぱなしのピアスにこびりついた皮脂のような強烈な臭い」って描写のあたりから、あっ、こいつ並みじゃねえや、と。あれは、虚構から感じさせられる、ちいさな、最良の嫌悪だね。

尾崎 そういうところは完全に花村さんの影響ですね。

花村 小学生が登場するあたりとか、ケチつける奴もいるのかもしれない。でも、俺はもう、にやにやしながら読んでたね。現実に引きずられてなくて、虚構がいきいきし出しててね。俺が一番、あ、この人はほんとにプロになってもやってけるなっていう確信抱いたのは、店に流れてたヤードバーズのBGMをストーンズと間違える上田って男が出てくる場面。最初は、上田君って地の文でも呼んでたのが、その男の底の浅さに気づいた瞬間、上田に変わってるんだよね。そういう細部が書けるっていうのはね、ちょっとすごいわ。打ち上げの飲み屋の、「うわあ、きったねえけど、こういうとこあるよな」っていう描写とかさ、細部がすごい見えてるんだよな。

尾崎 ほんと汚い居酒屋が嫌いで。打ち上げのときも、真っ先にきれいか汚いかを確認するんですけど、たまにあるんですよ。厨房がむき出しで、長靴とかそのまま置いてあったりするとこが。「ここがうまいんですよ」とか言われても、長靴のほうが気になっちゃう。トイレが客席に近い居酒屋だと、人の出入りも気になって、食べ物に集中できなかったり。でもそういう細かい描写も全部花村さんに影響されていますね。
 自分が初めて女の人と関係を持ったときも、いいとこよりも悪いところが目についたんです。女の人に対して憧れがあったし、完璧なものだと思っていたんです。だから、セックスのときに臭いがしたりすると、びっくりしてしまって。そういう理想の人についての、引き算の描写みたいなものを、花村さんの小説で読むたびに「やっぱり、そうだよな!」と思っていました。

花村 俺は母親といた時期が短いのね。それもあって壮大なるマザーコンプレックスだからさ、理想の女性像はあるにせよ、それは永久に満たされないからね。当然、失望するわけ。初めてしたころは、射精もできなくてさ。女性器を見るのも嫌だった。やりたいくせにな。女性器克服するまでに20代半ばぐらいまでかかった。

尾崎 それもおもしろい話ですね。ほんと、急に女の人に対して冷静に見ちゃう瞬間があるんですよね。ラブホテルに行った女性に、朝方の新宿の路地裏で手をつながれて、突然ぞっとしたり。

花村 ただなあ。それで、女性と関係するのを、やめるかっていうと、やめられねえしな。

尾崎 そうですね。甘えているんでしょうね、女性に。文句をつけて、「じゃ、もういい」って言われたら、「いや、別に別れたいとかそういうわけじゃないけど、苦情は言いたい」っていう。甘えです、甘え。女性のほうが上だと思っているからこそ、文句を言いたいんだと思います。



◇子どもができて、残酷になった

尾崎 本は本当にずっと好きで、でも、お金がなくていつも図書館で借りていました。花村さんの本も、何を最初に読んだかはもう忘れてしまったんですけど、『吉祥寺幸荘物語』がすごく好きで。ピアスの臭いの描写もそうですけど、暴力描写とかもすごく花村さんの影響を受けていますね。実際には、僕は暴力の経験がないので。

花村 俺だってないよ(笑)。

尾崎 『ぢん・ぢん・ぢん』に、缶であごを殴ったら、ベーコンみたいに削れたという描写があって、何でこんなのが書けるんだろうと。しかも、暴力を振るう相手が自分によくしてくれた人なんですよね。そういう人に対して、急に暴力を振るう。普通に読んでいると、何でそんなことしちゃうんだろうって思うんですけど、実際、その唐突さ、スピード感こそが、ほんとの暴力なんだろうなと思いました。

花村 自分が書いたものなのに、覚えてないなあ(笑)。これから書くもんは全部頭ん中にあるんだけど、書き終わると全部抜けるんだよね。

尾崎 それで同じ描写になってしまうということもないんですか。

花村 全然かまわねえから。気にしてない。また同じこと書いてるって言われたら「あたりめえじゃん」って。音楽といっしょ。主題の変奏曲。ブルースのフォーマットの十二小節といっしょ。

尾崎 花村さんの小説は性描写もすごいじゃないですか。それがまた10代の、自分が何にもなれずに、悶々としていたあの時期にぴったり合ったというか。とにかく、時間と性欲がすごくあるんですよね、あのころって。
 当時、僕はスーパーでバイトをしてたんです。夕方5時半から朝の9時までずっと、おっさんと2人で組んで、レジを打って品出しをしていて。終電までは地獄のように忙しいんですけど、その後急に暇になるんです。大体近所のフィリピンパブのおっさんが食材を買いに来るぐらいで。だから、ごみ箱の中にあった、コーヒーまみれのスポーツ新聞とかを引っ張りだして、風俗ページをずっと見ながら、それだけで興奮したりしていました。ピンサロの「30分2000円」っていう広告をわざわざ切り抜いたりとかして。朝方、夜勤明けでボロボロに疲れた状態で、金もないのに一応その店の前まで行ってみたり。外にまでトランスの音楽が流れてる、すごく不気味な店だったんですけど、ずっと眺めてましたね。そういう欲望がすごくあって。そういう時期に読んで、救われたというか、これでいいんだなという答え合わせをしているような感覚でした。
 暴力シーンやセックスシーンを書くときは、もう一気に書き上げるんですか?

花村 そうだね。でも俺は暴力もセックスもすげえ冷めて書いてるね。セックスの場面を書く前にはさ、ちゃんと、抜くようにしてるしな。とにかく一度抜いとくと、俯瞰できるから。

尾崎 参考にさせていただきます(笑)。今度、インタビューで小説について聞かれたら、僕もそう答えます。花村さんの教えを守って、僕もそうしてるんですって。
 暴力を描いていながら、花村さんの作品はすごく優しいですよね。『惜春』などを読むとすごく感じます。『惜春』は本当に大好きで。知り合いにも勧めたりしているんですけど、ミュージシャンのスガシカオさんも読んで感動して、曲をつくってるんです。「青春のホルマリン漬け」という、最近のアルバムの中に入っている曲なんですけど。

花村 それは知らなかった。昔の作品は優しかったよね。でも、子どもができちゃって、そしたら、人間が変わっちゃって、すごい残酷になった。『日蝕えつきる』とか、今度文庫で出る、『いまのはなんだ? 地獄かな』っていう、子殺しの話とか、ちょっと残酷さのニュアンスが違ってきてる。

尾崎 『日蝕えつきる』、本当にすばらしかったです。読み終わってもしばらく引きずるような残酷さがあって。

花村 『日蝕えつきる』は縛ってみようと思ったんだよね。残酷縛りで、エンディングが全部同じという連作短編が書きたかった。江戸時代の日蝕についての記録を見つけたとき、これだ、と。

尾崎 濡れ衣を着せられた男が入る牢屋の壮絶さとか、本当に救いようがなくて、残酷なんですけど、それを引き立たせる文章がとにかくすごくきれいで。

花村 内容はね、どれもちゃんと裏づけがある。歌舞伎がもともと売春のためのものだったとかね。

尾崎 歌舞伎役者を夢見る少年が陰間茶屋で育てられる話ですね。あの話が一番引きずりました。ふとしたときに「ああっ……」って絶望的な気持ちが蘇ってきて。
 子どもができると優しくなるというイメージがありますけど、花村さんは逆に残酷になったんですか?

花村 自分の子どもができて初めて、大切なものが消える可能性があるっていうことに、ほんとの意味で気づかされてね。ある意味、救いねえじゃんと思ったのよ。こいつが死んじゃうんだと思うと。明日路上で、車にひかれて死んじゃう可能性があるんだって思ったらさ、絶望だよね。これまで自分が書いていた絶望なんかより、もっと先の絶望があったんだって。そう気づいたら、残酷さのニュアンスが変わってきた。ほんと、子どもができて、死がリアルになったな。俺自身、自殺とか考えたことないからさ、死をさんざん書いてきたっていうのに、どこかリアルじゃなかったんだよな。



◇歌っているようなノイズ

花村 『祐介』読んで、これはもう小説に専念すべきだとか思ったんだけど、昨日、クリープハイプのCD聴いちゃってさ。音楽もすごいよかったんだよ。ずるいと思ったね。ひとっところに才能があつまるっていうのの典型じゃんか。声だけじゃなくて、ギターもいいんだよな。指が速いとか、正確だとか、器用な人はいっぱいいるけどさ、この音いいなっつう音出しちゃうわけよ。あれ、多分、嫉妬してる人いると思うよ。ああいうズレって出そうと思って出せないもん。

尾崎 たまにミュージシャンの方にもギターがいいと言ってもらえるんですけど、僕はギターがほとんど弾けないんです。特に右手のほうがダメで、ギターソロも弾けない。昔は頑張ってブルースギターの教則本とかも買ってみたんですけど、途中で、たぶん興味がないんだなってことに気づいて。曲をつくるためにギターを弾くんですけど、うまくなりたいとかそういう気持ちがないんですよね。

花村 たぶん、アコースティックかセミアコースティックかなと思って聴いてたんだよね。あのアタックでソリッドギターだと、粒立ちがはっきりし過ぎちゃうな、って。

尾崎 セミアコースティックですね。ギブソンのES─335です。335だと何も弾いてないときにハウリングするんですよ。それが好きで。ずっとフーって鳴っていて、そのノイズも結構いいんですよね。歌っているというか、歌に合うようなノイズで。だからわざと出して、止めたいときは弦を押さえてハウリングを止めるようにしています。

花村 まさに感性で弾くタイプだね。ほとんどの場合、感情で弾いてしまうと散らかるんだけど、尾崎のギターは背骨がしっかりしているね。

尾崎 感情をそのまま、出せるほうがいいなと思っていて。演奏も、ほとんど一緒に録っているんです。基本的にバンドでつくるときには、自分が歌っているときと同じようにギターを弾いていて、そこにメンバーが合わせてくるというやり方にしているんです。だからもうほとんど、自分のギターでバンドを引っぱってくような感覚でやっていて。そのやり方に、箱(セミアコ)のギターというのは合ってますね。花村さんは結構ギターを弾かれるんですか。

花村 全然。もういじってないね。昔は弾いてたけど、正直、器用なギターだけど、いいギターではなかった。

尾崎 今も持っていますか。

花村 ギブソンから再発された最初期のSGのコピーモデル。バランスの悪いギターでね。でも、すごく軽い。あの軽率さがよくてね。

尾崎 ギブソンは、チューニングが合わないんですよ。よく3弦がずれるんです。そういうギターなんです。だからミュージシャンも、そこを弾きながらちょっとカバーする。それも何かいいなと思いますね。



◇作るエネルギーと批判するエネルギー

花村 尾崎ってすげえ音楽は好きだろうけど、音楽自体を突き放しちゃってるよな、『祐介』を読むと。

尾崎 そうですね。やっぱりすごく恨みがあるというか。かといって、離れるつもりもないんですけど。甘えですね。音楽にも甘えているんだと思います。女の人と同じですね。好きだけど、文句は言いたいというか。

花村 それはちゃんと音楽やってきたことの積み重ねの上にあるものだよな。俺は何もやってこなかったじゃん。ぶらぶらぶらぶらしてさ。それでいきなり小説を書くとさ、やっぱり、ゆるいわけよ。思考を重ねてこなかった分ね。あるいは、嫌な思いをしてこなかった分ね。俺、逃げてたもん、ずっと。どっかでイライラしながらもね、よくわかんないまんまに、そっから逃げてた。だから、『祐介』のライブハウスの描写を読んで、ああ、みんなこんな嫌な思いしてんのかって思った。バンド組んで、最初の一発当てようみたいなかっこいいところから、現実を突きつけられてさ。

尾崎 でも、つらいことばっかり記憶に残っているけど、よく思い返せば、嫌なことばかりでもなかったなというのはありますね。だから続けてこれたんだと思います。たまにいいこともあるからやめられないというか。ほんとに、ずっとうまいこと強制労働させられているような感覚です、音楽に対して。

花村 でもさ、尾崎は才能あったからいいよ。ほとんどの人はさ、「俺も昔はバンドやっててさ」って、ちょっと器用なギター弾いておしまいじゃん。そりゃ、嫉妬もすごいされるわけだよ。

尾崎 嫉妬かはわからないですけど、ネットによく悪口は書かれますね。

花村 それちゃんと見るのか。

尾崎 全部見ます。

花村 俺はアマゾンのレビューさえも見ない。見ぬもの、清し。

尾崎 全部見て、「くそっ」と思って。またそれで歌詞を書いてます。

花村 原動力になってるうちはいいけどさ。

尾崎 どんどん消耗していきます。でも、見ちゃうんですよね。消耗しながら、でも、悪口を書く側じゃなくて幸せだなと思いますね。ボロクソに書く人って、何も表現することがないから書くんだろうな、と思うんですよ。作品をつくるエネルギーと、それを批判するエネルギーは、根本的にはすごく似ているものなんだろうなって。

花村 でも、大抵の奴、批判する才能もねえじゃん。書いてること見ると、ラーメンのうまい、まずい言ってるのと大差ないんだよ。

尾崎 だから相手にしなくていいってよく言われるんですけど、だからこそ腹が立つんです。こんな何もわかってない奴に言われるのかって。でも、そうやって本気でこっちが受けるから、向こうもどんどん書くんでしょうね。

花村 そうだよ。相手してもらったらうれしいじゃん、あいつら。はりあいが出ちゃう。「世界観」って名前も、周りの言うことにイラっときてつけたの?

尾崎 自分の歌詞や曲について、世界観という言葉をつかって評価されることがすごく多くて。それが何かすごく引っかかってたんです。世界観という漢字の並びも強そうじゃないですか(笑)。じゃ名前にしてみようと思って。

花村 俺は最初名前聞いたとき、ちょっと誤解してたんだよ。えーっ、世界観かよって。そういうこと言いたがる奴なのかと。世界観って、あるころからみんな言い出したよね。便利なんだよな、何かいっぱしのこと言った気になれるから。

尾崎 簡単につかってますよね、よくわからないことを解決するために。

花村 いや、世界観自体は悪い言葉じゃないよね。ただつかう人の脳みその問題でさ。虚構について何も考えてねえなって思うのよ、安易に口にする人は。



◇虚構を成り立たせるもの

花村 ちなみにさ、虚構を成立させるために、一番大切なのは何だと思う。

尾崎 えー、何だろうな……。

花村 虚構はよ、偶然が許されないの。山手線乗ってたら、知り合いが乗り込んでくるとか、現実はそういう偶発的なことが起こるんだよね。でも、小説でそういうことしちゃうと、途端にガラガラって崩れちゃうわけよ。だからこそ、作家は自分が詐欺師になったつもりで書かないといけない。自分がパイロットになり切って、結婚詐欺するとしたら、細部を一生懸命補強するでしょ。JALのバッジつけたり、知識をガーッと仕入れたり。しかも詐欺師は、偶然に頼れないわけよ。全部周到に準備しなきゃ。虚構ってそういうことなのよ。現実は偶然がいっぱい起きるよね。現実のほうがでたらめなのよ。虚構はまさに世界観なんだわ。それがちゃんと確立してないと、細部までつくり上げてないと、どっかで崩れてくんだよね。

尾崎 確かに、上田がヤードバーズとストーンズを間違える場面は、どんなレコードがいいかすごく考えましたね。洋楽は詳しくないんですけど、うさんくさいやつを作り上げたい一心で。確かにあのときはほんとに詐欺師になった感覚でしたね。

花村 噓つきに、いかに徹するか。噓つけるのは俺らの特権だからさ。尾崎は細部にこだわりがあるし、向いてると思う。



◇虚構は雪崩でいい

花村 忙しいだろうけど、どんどん小説を書いてほしいね。尾崎は、自分の視点を持ってるから、いくらでも書けるよ。ほとんどの人は自分の目で見てるようで、見てないのよ。いろんな他人の意見がいっぱい頭に入ってて、それを通してしか見られない。でも、尾崎は根っこですごい我が強いのかな。自分の視点がある。いいことだよね。そのまま書き続けたら、きっと忘我が来るから。そのエクスタシーを味わったらやめられなくなるよ。とにかく、あんまり考えずに、軽く書いちゃいな。

尾崎 とにかく、書くことですよね。今の時代、SNSがあることで、みんなが粗探しをしやすくなったし、意見も言いやすくなったじゃないですか。そこに負けたくないなという気持ちがすごくあって。だから、今思うと、『祐介』もなめられないように、中学生が髪を染めるような感じで書いているんですよね。今もずっと次作を書きたいと思って、準備をしているんですけど、考え過ぎてしまって。だから、考えずに書いちゃえという花村さんの言葉はすごく刺激になりました。

花村 題名さえあればもう書けるよ。虚構はよ、雪崩になっちゃっていいわけよ。虚構が走り出したら、止めずに、筆に任せればいい。言葉が言葉を生んでくから大丈夫。シミュレーションしちゃうと逆に動けなくなるよ。人間、つじつま合わせる動物だから、才能があればめちゃくちゃやってるようでも、ちゃんと結末にたどり着くから。

尾崎 なんだか、書けるような気がしてきました(笑)。

花村 頭でわかっても、できない人はできないんだよな。みんなオーバーヘッドキックのやり方知ってても、できないみたいにさ。理解できても、実際、できなきゃ意味がない。俺は、尾崎には、それができると思ってる。一作ごとに課題を設ければいいんだよ。小学生の女の子を主人公にするとか、何か課題を設けたら、やれちゃうから。あとはね、仕事なんだから、つべこべ言わずに書けって感じ。創作の衝動とかそういうのが降りてくるのを待ってたら、何もできないよ。

尾崎 そうですね、つべこべ言わずに書こうと思います。

花村 あれ、俺、「つべこべ」なんて言ったっけ?

尾崎 いえ、本当に「つべこべ」言って、ぐずぐずしてたんで。つべこべ言わず、頑張ります。

 (「小説すばる」2017年11月号より。
   文/小山田桐子 撮影/佐藤佑樹)



花村萬月さん花村萬月(はなむら まんげつ)
1955年東京都生まれ。1989年『ゴッド・ブレイス物語』で第2回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。1998年『皆月』で第19回吉川英治文学新人賞を受賞。同年、『ゲルマニウムの夜』で第119回芥川賞を受賞。2017年『日蝕えつきる』で第30回柴田錬三郎賞を受賞。著書多数。



尾崎世界観さん尾崎世界観(おざき せかいかん)
1984年東京都生まれ。ロックバンド「クリープハイプ」のヴォーカル、ギター。2012年にアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でメジャーデビュー。2016年、初の小説『祐介』を上梓。他の著書に『苦汁100%』がある。






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