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櫛挽道守(くしひきちもり)

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『櫛挽道守(くしひきちもり)』著者:木内 昇

定価:1,600円(本体)+税 12月5日発売

 舞台は幕末、木曽山中。黒船来航や桜田門外の変など、中山道の宿場町・藪原にも街道伝いに時代の足音が聞こえ始めていました。
 主人公は一帯の名産である「お六櫛」職人・吾助の長女、登瀬。吾助は神業と呼ばれる腕前を持ち、登瀬は幼い頃から父の櫛挽に魅せられてきました。
 お六櫛とは、飾り櫛や解かし櫛とは異なり、髪や地肌の汚れをくしけずるための櫛です。そのため、たった一寸(約3センチメートル)の幅におよそ三十本という驚異的な細かさで櫛歯が挽かれた特別な櫛でした。

 当時は、嫁いで子を成して、家を支えることが女の幸せだと信じられていた時代で、女が櫛挽職人になるなどもってのほか。そう母から強く言い聞かされながらも、登瀬は父の技を何とかして学びたいと、手伝いを続けてきました。
 父の吾助、母の松枝、長女の登瀬、次女の喜和、長男の直助……一家五人は貧しいながらも平穏な暮らしを送っていましたが、ある夏、父の跡を継ぐはずだった直助が急逝。平穏だった一家は、それをきっかけに軋みはじめます。
 母は憔悴し、苦しみを誤魔化すかのように、残された娘二人に女の幸せを説くように。父は何もなかったかのように櫛を挽き続け、登瀬もまたその手伝いに没頭。喜和はそんな家族から目を背けて村の外に幸せを求めだします。
 やがて登瀬は、周りからの反対や妨害を受けながらも、女ながらに櫛挽職人の道を歩み始めて――。

 十六歳から三十二歳まで、小さな宿場町の小さな板ノ間で時代とともに大きく揺れ動いた一人の女性の半生を描き出した今作は、著者・木内さんの新境地といえる作品です。
 家族とはなにか、女性にとっての幸せはどこにあるのか……。登瀬が一心に歩み続けた道の先に、深く静かな感動が広がる長編時代小説。ぜひお読みください。

(担当I・H)


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