『革命の終焉』著者:佐藤賢一
定価:1,600円(本体)+税 9月26日発売
小説フランス革命完結記念!
『革命の終焉 小説フランス革命XII』刊行
佐藤賢一氏レンザブロー限定インタビュー
@山形県鶴岡市
ライフワーク『小説フランス革命』の刊行開始から6年。
この9月の12巻で完結を迎えた今、佐藤氏が思うことは――。
☆大変な事件だったし、大変な仕事だった
☆ロベスピエールとの6年間
☆ロベスピエールの孤独な闘い
☆ロベスピエールの三角関係
☆オリンピックへ向かう日本
☆革命が与える生命力
撮影 chihiro.
担当編集テマエミソ
「特に何もしていないんですけどねぇ」
フランス革命刊行開始から、みるみる痩せて引き締まっていく佐藤さんに、
「また痩せましたね?」
と、お声をおかけするたび、穏やかに返ってくる言葉でした。
2010年9月刊行の『フイヤン派の野望 小説フランス革命VI』の時にも、テマエミソ新刊案内で同様のことを記しましたが、それから3年たち、40代半ばを迎えた佐藤さんは、作家としての貫禄がありながらも以前より若々しくなった気さえします。
ヴェルサイユの三部会開幕に始まり、バスティーユの陥落で革命の火蓋が切って落とされてから、ヴェルサイユ行進、王の逃亡、主役革命家であるミラボーの死、党派同士の熾烈な争い、数多の粛清と処刑を経て、革命の終焉に至るまで――様々な枝葉があり、変節があり、進退があり、ドラマが繰り広げられました。事件一つ一つがドラマチックに描かれることは言うまでもありませんが、ロベスピエール、デムーラン、ダントン、マラ、サン・ジュストなど有名な革命家はもちろん、実力や能力がありながら挫折した者たちまで、実にたくさんの人々が混乱なく個性豊かに描き分けられます。
時系列で追っていく手法はオーソドックスと言えますが、俯瞰ではなく革命家の目線に徹して描いたことで、時代の息遣い、革命の雰囲気が濃厚になり、読者はいつのまにか、18世紀パリに投じられたような錯覚さえ抱くかもしれません。
この臨場感は、数多の歴史小説の中でも類を見ないのではと思います。
常に締め切り通りに、精度高く、密度濃い原稿をいただき続けたこの6年間。
デビュー時から佐藤氏とおつきあいを続けさせていただいたことも光栄ながら、編集者冥利につきる貴重な時間を過ごさせていただきました。
また、「小説すばる」連載時からイラストを担当してくださった八木美穂子さんのカバー装画にも注目です。各巻の中心人物を表に描いてくださいましたが、第1巻と最終巻のロベスピエールの表情の格差に、フランス革命の複雑性が表されているようです。
余談ですが、最終原稿をいただいたのち、担当編集はパリを訪れ、革命所縁の地を訪ねました。ダントン像、革命家たちが熱く議論を戦わせたカフェ・プロコープ、デムーランが結婚式を挙げたサン・シュルピス教会・・・・・・。実際、歩いてあらためて思ったのが、当時の地理関係についても佐藤さんの描写がいかに正確であるかということでした。このシリーズを読んでパリに行けば、革命期のパリが3Dで甦るという実写映画さながらの充実した歴史散歩を楽しめることも、自信を持ってお約束いたします。
なお、同時期に刊行された『かの名はポンパドール』(単行本・世界文化社刊/コミック・紅林直画 集英社刊)は、フランス革命の下地、助走ともいうべき時代が活写されています。こちらもあわせてお読みになることをお薦めいたします。
(担当編集K)