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RENZABUROスペシャルエッセイ

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少女は卒業しない

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桐島、部活やめるってよ

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『少女は卒業しない』著者:朝井リョウ

定価:1,300円(本体)+税 3月5日発売

『少女は卒業しない』刊行&『桐島、部活やめるってよ』映画化記念
朝井リョウ×橋本 愛
小説の女子高生は、とってもリアルです。

朝井リョウさんのデビュー作『桐島、部活やめるってよ』(第22回小説すばる新人賞)が映画化され、この夏、全国公開が予定されています。昨年十一月末から年末にかけて行われた高知でのロケ現場に朝井さんが訪れ、ヒロインのかすみ役の橋本愛さんをお相手に対談を行いました。映画のお話とともに、現役の高校生でもある橋本さんに、朝井さんの新刊『少女は卒業しない』の感想を伺いました。この作品は、校舎の取り壊しが決まっている高校で、最後の卒業式を迎える少女七人の、それぞれの別れの思いを描いた連作短編集。現役女子高生という最も手強い読者の目に、この作品はどう映ったのでしょうか。

構成=増子信一

朝井リョウ 著『少女は卒業しない』
集英社刊(単行本)・3月5日発売・定価:1,300円(本体)+税
公式HP http://www.shueisha.co.jp/sotsugyo/
(内容)
校舎取り壊しの決まった地方の高校、最後の卒業式。
少女たちが迎える7つの「さよなら」の物語がリンクしたとき、学校にまつわる「うわさ」の真相も明らかに!?

橋本愛さん出演 映画『桐島、部活やめるってよ』
監督 吉田大八(「腑抜けども、悲しみの愛をみせろ」など)
出演 神木隆之介、橋本愛、大後寿々花 ほか
8月 新宿バルト9ほか全国ロードショー・企画製作日本テレビ
公式HP http://www.kirishima-movie.com/index.html

目の前で動く「かすみ」

朝井 さっき、スタッフの皆さんの前で挨拶したときにもいったのですが、自分の作品が映画になるというのは、なんとも不思議な感じなんですね。小説っていうのは、基本的に家の中で一人で書く作業なんですけど、それがこんなに大勢の人がかかわって新たな作品として生まれ変わるっていうのにまず驚きました。それから、「かすみ」って名前が呼ばれると、実際に橋本さんが動くわけでしょう。自分が考えたキャラクターが目の前に実際の人間としている。かすみがいるし、宏樹もいるし、前田もいるし、風助もいる……それがすごい奇妙で、いまだに夢を見ているような感じです。
 橋本さんにとって、このかすみって子はどんな子だって思いましたか。

橋本 原作を読んでるときのかすみの印象っていうのは、ほかのキャラクターよりも登場回数もそんなになくて、正直、最初、戸惑いましたね。「えっ、かすみ?」みたいな。

朝井 へえー。

橋本 だけど、台本を読んでいるうちに、なんていうか、あっ、いるなって気がしてきました。

朝井 生きてる感じ?

橋本 そうですね。

朝井 かすみって、たしかに原作だとそんなに出てこないんですけど、実は一番人気かもしれないぐらい、この人が好きですって人が多いんですよ。特に年上の男性の方には、かすみが断トツで人気なんですね。『桐島~』は今度文庫になるんですけど、そこにかすみが主人公の話を新たに書くぐらい、かすみの反響が多かったんですね。

橋本 へえー。

朝井 ぼくは映画の「告白」で橋本さんのことを初めて見てすごく印象に残ってたので、かすみが橋本さんだって聞いてとてもうれしかったんです。ほんとうにありがとうございます。

橋本 いえいえ、いい役をいただけて、ありがとうございます。

朝井 ちなみに、原作を読んだとき、かすみ以外で橋本さんが気になったキャラクターとか、おもしろいと思った人とか、いました?

橋本 気になった……。一番気になったのは竜汰でしたね。竜汰の長い髪の毛、気持ちよさそうだなって(笑)。しかも楽しそうだし、何か、典型的な青春を歩んでる男の子っていう感じがして。

朝井 実写の子(落合モトキ)もすごい格好いいですよね。

橋本 あとはやっぱり実果ですかね。ああいうリアルな青春の感じの物語の中で、一人だけすごい重いものを抱えてて。最後お母さんの誕生日に花束を渡すところ、あそこは泣きました。

朝井 初め、橋本さんの名前を聞いたときに、実果かな、と思ったんですよね。何か内に秘めてる感というか、解き明かせない感が実果っぽいなって。
 でも、やっぱりかすみで正解でしたね。原作を読んでくださってる方は、多分、かすみっていうキャラクターに夢みたいなものを込めていると思うんですよ。そこへ、橋本さんのかすみがスクリーンに出てくると、そのまま夢が続いていくというか、ばっちりだと思います。

橋本 ただ、かすみの役って、すごい難しくて。どこか性格があいまいで、頭ではわかるんだけど表現がすごい難しくて、すごい悩んだり、考えたりしてたんですね。でも、やっているうちに、やりやすくなってきて、頭で考えるより体で感じるというか、初日よりも大分わかってきたなって。

朝井 すごいな。小説を書くときはどうしても頭でばっかり考えちゃうから、そういうふうに自分のキャラクターを演じてくれてる人がいるというのは新鮮ですね。

女の子・卒業式・恋愛の三点セット

朝井 今度の『少女は卒業しない』は、『桐島~』を読んでくれた人から、女の子の話がいいねっていわれることが多くて、じゃあ、全部、女子主人公で書いてみようと思って書いた挑戦作なんです。
 ただ、ぼくからしたら、女の子のことって、やっぱり想像で書くしかないじゃないですか。本に出てくる女の子たちとまさに同年代の橋本さんが読んでみて、これは思わねえぞ、女子高生、みたいなのがあったら、指摘してほしいんですけど。

橋本 ええ? とってもリアルだなって思いました。

朝井 これ、ちげえなっていうのはなかったですか。大丈夫ですか。

橋本 全然なかったと思いますね、はい。

朝井 それはめちゃめちゃうれしいです。同年代の現役の女子高生の方に感想を聞く機会はなかなかないので、今回、ちょっと聞いてみたかったんです。

橋本 まあ、身近じゃないものもありましたけど。何かリアルな章と、これはちょっと漫画とか小説とかでしか知らない世界だなっていう部分があって、たとえば先生との恋とか。

朝井 ああ。あり得ないですか。

橋本 あり得ないっていうわけでもないですけど、うちの学校ではそんな対象に見られる先生はいなかったなあと思って(笑)。

朝井 卒業にまつわる思い出とかイメージとか、ありますか。

橋本 卒業式で一番最初に泣くタイプでした。

朝井 え? 意外ですね。

橋本 もう、最初の校長先生の式辞の途中で泣くんです。

朝井 校長先生の話って、そんな感動的でしたか。

橋本 いや、話の内容とかじゃなくて、もうなんか泣いてましたね。で、私の鼻をすする音を合図のようにして、みんなどんどん泣き始めるんです。

朝井 突破口、開いてやるぜみたいな(笑)。

橋本 一番最初って、恥ずかしいじゃないですか。でも、あ、泣いちゃったと思ったら、次第にみんなも泣き出してきて。

朝井 高校って、受験があるから三月一日とかに卒業式やっちゃうんですよね。だから、卒業式の次の日、普通に学校に行くんですけど、それがすごい気持ち悪くて。
 だから、学校が廃校になることが決まっちゃった状態の卒業式ってのをちょっと書いてみたかったんです。

橋本 へえー。私も中学の卒業式、三月十一日だったんですけど、小学校が二十五日とかだったんで、その間、まだ学校、行きたかったなあってずっと思ってました。

朝井 学校、お好きだったんですね。

橋本 好きでしたね、すごく。

朝井 じゃあ、地元の友達と会えなくなるのは寂しいですね。

橋本 そう。だから、ずっと、授業中も泣いてましたもん。でも、卒業式の前日まで三日間ぐらい仕事で、学校に行けなくて寂しかったですね。

朝井 それはつらいな。ぼくも、高校のときは、みんなもうバラバラになることを結構受け入れてたけど、中学のときは、受け入れられなくて、卒業式ではめちゃめちゃ泣いた記憶があります。懐かしい。
 さっき、先生との恋愛はあり得ないといってましたけど、『少女は~』に出てくるほかの恋愛はどうですか。

橋本 実は、読んでいる途中で気づいたんです。あ、全部、これ、恋愛なんだって。

朝井 途中で気づいてくれてよかった(笑)。

橋本 しかも全部、主人公、女の子だと思って。

朝井 そう。女の子、卒業式、恋愛、この三つの条件を満たして七編書く、という挑戦だったので。

橋本 仕掛けがおもしろいですよね。同じ舞台なんだけど、それぞれに違うストーリーがあるっていうのが大好きなんですよ、もともと。それに、この章では明かされなかった謎が、ここで、あ、そういうことだったんだみたいな。

朝井 それもまさに今回やりたかったところで、そういっていただけるとすごいうれしい。

橋本 この中で好きなのは、やっぱ?キャベツ?ですかね。

朝井 足の甲がキャベツみたいな寺田君ね。

橋本 すごい好きですね、あれは。

朝井 キャベツ、絶対いいやつだもん。

橋本 あとは、最後の、真夜中に校舎に忍び込む「夜明けの中心」。あれは構成とかもおもしろかった。
 でも私、最初、タイトルが「少女は卒業できない」だと勘違いしてて。

朝井 一生少女、一生老けないみたいな。それは怖いな(笑)。

橋本 で、なんか重そうって思ったら、とてもさわやかだからびっくりしちゃいました。

朝井 ありがとうございます。すごいな。「告白」のあの少女に自分の小説を読んでもらったと思うと、ほんとうに不思議な気持ちですね。
 ロケももうすぐ終わるということで、映画の完成、楽しみにしています。

橋本 はい。学園ものだけど、大人も楽しめると思うので、多くの方に観てほしいですね。

あさい・りょう●作家。1989年岐阜県生まれ。早稲田大学文化構想学部在学中。「桐島、部活やめるってよ」で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。著書に『チア男子!!』『星やどりの声』『もういちど生まれる』がある。

はしもと・あい●モデル、女優。1996年熊本県生まれ。2010年映画「告白」で委員長・美月役を演じ注目を集める。11年「アバター」「管制塔」主演。12年「HOME愛しの座敷わらし」「アナザー」など公開が続く。SEVENTEEN 専属モデル。

(青春と読書3月号より転載)

「桐島、部活やめるってよ」映画公式サイトはこちら


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