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ワーカーズ・ダイジェスト

  • 紙の本

『ワーカーズ・ダイジェスト』著者:津村記久子

定価:1,200円(本体)+税 3月25日発売

――疲れてるのは、あんたが悪いんやない

本書の刊行記念対談で西加奈子さんとお話ししているときの、津村さんの言葉です。
会社員として仕事をし、普通に生活していたら、しんどかったり疲れたりして当たり前。理不尽な仕打ちにもしばしば遭う。けれど、それは絶対にあなたに落ち度があるからじゃない。身体が経年劣化するのは当たり前だし、理不尽な仕打ちは、相手の機嫌が悪いだけ――津村さんは、そんなふうに仰いました。

編集Nは聞いていて、鼻の奥がツンとしました。

こういう言葉に救われる、〈頑張っている人〉が、世の中にどれほど居ることか。
そして本書は、隣の人にこういう言葉をかけてもらったような気持ちになる、小説なのです。

32歳の奈加子と重信は、仕事で偶然に出会います。
苗字も、年齢も、誕生日まで一緒のふたり。でも、特に何の発展もないまま、二人は別々に日常を送ります。肉体的にも精神的にもシンドイこと続きの二人が、色んな問題にどう対処するかは大きな見どころ。会社員勤めをしながら執筆されている津村さんならではのリアリティがたっぷりで、実生活にも応用できそうなことばかり。しかも、つい脱力して笑っちゃうようなユーモアも満載です。
そして、別々に生きてはいても、二人にはどこか共感するところがあって……と、ネタバレはこのくらいで。

上を上を目指さなくても、いつまでも若さを保っていなくても、素敵な人と出会わなくても、普通に日常を生きていく、それだけでも、こんなにも尊い。
『ワーカーズ・ダイジェスト』は、そんな大切なことに気づかせてくれます。
そして、そうやって日々を過ごしていくことが、きっと良いことにつながると思える、素敵なラストが待っています。

今、未曾有の災害に見舞われたこの国で、自分がすぐ役に立てることが見つからず、のうのうと生活していて良いものかと悩んだり苦しんだり申し訳なく思ったりしている方も、たくさんいらっしゃると思います。私もそうです。
けれど、粛々と地道にこなす仕事や生活にもきっと意味があると、本書を読んで少しでも元気になっていただけたらと思います。そうして、いざ必要とされたとき、ちゃんと力を出せるように、気持ちを保つお手伝いが少しでも出来たら、と、大変おこがましいかもしれまんが、願っています。

『ワーカーズ・ダイジェスト』特設サイトはこちら

(編集N)


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