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著者インタビュー ジレンマを抱えたバレー男子が愛おしい!バレーボールの神様に愛されているのに性格に難ありの天才セッターと、
抜群の身体能力を持ちながらプレッシャーにめっぽう弱い、ボンボン育ちのアタッカー。
壁井ユカコさんの最新刊は、高校の弱小男子バレー部を舞台にした、青春スポーツ小説です。
バレーの面白さと、強さと脆さを抱えた愛すべき男子たちの魅力が詰まった本書について、壁井さんに伺いました。真っ先にバレーが浮かんだ

――本作の舞台は、春高(全日本バレーボール高等学校選手権大会)を目指す、福井県七符市の県立高校・七符清陰高校の男子バレーボール部です。なぜ、バレーボールをテーマにされたのでしょうか。


 以前から、スポーツ小説を書いてみたいな、という漠然とした思いがありました。それで、じゃあ題材は何がいいだろうと考えたときに、真っ先に浮かんだのがバレーボールだったんです。
 私自身は、バレーは体育の授業で経験したくらいで、どちらかというと苦手だったんですが、昔から、見るのは好きでした。私が子供の頃は、川合俊一さんが現役で、バレー選手はアイドル並みの人気があったんです。試合がテレビで放送されるたびに見ていましたから、いつの間にか好きになっていました。それでスポーツを書くなら、バレーだと。
 福井県の高校にしたのは、地方の弱小バレー部を舞台にしたかったからと、もう一つ、福井って実は、有名な日本代表選手を輩出しているバレー名門県なんですね。元代表の中垣内祐一さん、荻野正二さん、現役の清水邦広選手も福井県出身です。

――バレーボールの練習風景や試合の場面は、臨場感があって、ボールと選手の動きが目に浮かぶようでした。

 執筆にあたって、たくさんの試合を観戦に行きました。インターハイ(全国高等学校総合体育大会)や春高、ワールドカップにも行って、印象的なプレーはメモをとったりしましたね。
 これまでは、それほど知識を持って見ていたわけではなかったのです。それが、フォーメーションを意識し、細かいルールを理解するようになると、より面白く観戦できるようになりました。そうやって自分がかっこいいと思ったプレーやコートの空気を言葉にするのは、それほど苦労せずにできたのですが、バレーを知らない人がイメージを浮かべられるか、一方で、知っている人にとってリアリティがあるのか、両方のバランスをとるのに試行錯誤しました。

――これまでの壁井さんの作品には、男子が主人公のものと、女子が主人公のもの、両方あります。今回は、なぜ"男子"バレー部だったのでしょう。

 女子バレーも、見るのはとても好きなんです。ただ私には、男子を書きたい時期と、女子を書きたい時期があって、最近はずっと"男子期"なんですよね。

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キャラクターの原点はラスコーリニコフ

――この小説は、章ごとに語り手が変わっていく連作集になっています。バレー部の部員はみな、個性的ですよね。登場人物のキャラクターはどのように考えていかれるのですか。


 ケースバイケースですが、まず、主軸となるキャラクターがいることが多いです。それから、主軸との対比とバリエーションで、他のキャラクターを考えていきます。
 この作品で主軸にしたのは、セッターの灰島公誓です。セッターというポジションの難しさが、絶対に面白い題材になると思いました。花形アタッカーほど目立つわけではないけれど、チームの司令塔的存在である。そのポジションを、人とのコミュニケーションが苦手な灰島に担わせようと。
 灰島は、バレーセンスは抜群で、バレーに一途なのだけれど、性格は内向的でひねくれていて、人の気持ちがわからないタイプです。自分でもそれを自覚しているのに、人の中心に立って、人を動かしたいという渇望がある。他の部員から見たら、扱いにくいセッターで、本人も、ものすごくジレンマを抱えている。そこが愛おしい(笑)。
 灰島のようなタイプのキャラクターは、これまでの作品でもよく書いてきました。自分でも最近自覚したんですが、私が好んで書くキャラクターの原点は『罪と罰』の主人公ラスコーリニコフなんです。根は純真なんだけど、すごく屈折している ……。
 一方、黒羽祐仁や小田伸一郎のような、真っ直ぐで熱いキャラクターは、これまではあまり中心に据えて書くことがなかったんです。今回は、連作集だったから、チャレンジできました。書いてみたら、彼らの男気や熱さがかっこよくて、ストーリーを前に進めてくれる存在になりました。

――でもやっぱり、壁井さんの好みは、灰島ですか?

 リアルに付き合うなら、黒羽か青木操ですね(笑)。灰島は、好きだけど、あの難しい性格にあわせるのは私には無理です! ただ、黒羽と付き合うと、親戚付き合いが大変そうだって担当編集者さんと話してました(笑)。

――主な登場人物の六人のなかで、青木と棺野秋人は語り手になっていませんね。

 エピローグで少し、語り手になるだけですね。実は、青木が語り手の回も途中までは書いたんです。でもどうもしっくり来なくて、彼はミステリアスにしておいたほうがいいだろうと思い直して、ボツにしました。

――他人になかなか心を開かない灰島も、仲間との衝突を通して、少しずつ変わっていきますね。

 そうですね。黒羽の性格の良さが、灰島に伝染していった面はあります。
 ただ、根本的なところは変わっていないかもしれませんね。根っからのバレー馬鹿で、基本的に、自分のためにバレーをやっている。その灰島に、周りが引きずられていったというほうが大きいかもしれません。ただ、このチームでないと、灰島の才能は生かされなかったと思います。

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アンバランスな魅力――10代を書く理由

――第二話では、唯一、女子バレー部の部員である末森荊が語り手になります。男子への憧れと嫉妬が入り混じった気持ち、すごくよくわかりました。


 男子バレーの奥行きを表現するためには、外側から男子を書くことも必要だと考えました。内側から魅力的だと言っているだけでは、あまりかっこよくないなと。また、私のなかにも男子への憧れがあって、荊の視点でそれを書きたいとも思いました。
 ですが、書いてみたら、この第二話が一番苦労しました。書き手である私と、語り手である末森荊の距離が、近すぎたんですね。距離が近いと、どうしても女子の嫌な面ばかりを書き込んでしまう。リアルな描写にはなるんですが、リアルなものを読まされて、必ずしも楽しいというわけではないので。書いている私も精神的に大変でした。一方、男子は、距離感が保てるから、書いていて楽しかったですね。


――壁井さんの高校時代はいかがでしたか。この作品に、実体験は反映されているのでしょうか。

 私には、華々しい青春はなかったですね。ですからこの作品には、実体験はほとんど反映されていないんです。長野の田舎で育ったので、田舎の雰囲気は体験に基づくものですが、ストーリーには、こんなふうに過ごしてみたかったという憧れや、大人になってからの後悔などを、投影しました。

――振り返ってみると10代のこの時期は、特別ですね。

 私が主人公に据えるのは、20代の前半くらいまでがほとんどなんです。未来にはまだ無限の選択肢が広がっているのに、渦中にいる当事者は不自由を感じている――このアンバランスさが、好きなんですね。
 とくに10代の頃って、起きていることに大きく絶望したり、自分にひどく嫌悪感を抱いたりしがちです。大人から見れば、たいしたことではないようなことに、この世の終わりのように思い詰めてしまう。
 たとえば第二話で、末森荊はある出来事に際して、この後悔を一生引きずっていこうと決意します。でもそれって、大人からしたら、よくある恋の擦れ違いの一つに過ぎなくて、取り返すことができるものなんですよね。それなのに高校生の荊は、自分は一生ものの過ちを犯したから、決して赦されてはならないと言う。こうした、ある意味での純粋さは、大人から見ると眩しくもあり、もどかしくもあります。そして、だからこそ、書きごたえのある時期だと思います。
 この作品を読んで、高校生など同世代の方には共感していただけたら嬉しいですし、大人の方には、昔を思い出したり、疑似体験をしながら、楽しんでいただけたら嬉しいです。

聞き手・構成=砂田明子
「青春と読書」2013年8月号掲載



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書 評
『2.43 清陰高校男子バレー部』書評
強がる少年たちが好感度大
瀧井朝世

 壁井ユカコさんといえば、主に少年少女が主人公の、ファンタジー要素の強い作品で人気を博している作家である。そんな彼女が不思議要素一切なしの、読み応え満点のド直球青春小説を上梓した。タイトルの『2.43』はバレーボールのネットの高さ。高校男子バレーは通常2m40cmだが春の高校バレーでは社会人と同じく2m43cmの高さで行われる。そう、本書は春高を目指す少年たちの話だ。
 視点人物を変えながら描かれるこのオムニバスの第一話の主役は中学2年の黒羽祐仁。幼稚園の頃の友達が地元の福井に戻ってくると知り楽しみにしていたものの、その灰島公誓は周囲が引くほど無愛想な少年となっていた。しかし祐仁も籍をおくバレー部に入部した彼は驚くべき身体能力を発揮。実は東京の強豪校でセッターをしていたのだ。気遣いを知らない性格が災いして東京で苦い経験をした公誓、人はいいがそれゆえメンタルが弱い祐仁。二人は歩み寄り、夏の県大会の一回戦で勝利をおさめるのだが、やがて思わぬ事態が発生、大きな断絶を迎えることとなってしまう。
 第二話は高校のバレー部に所属する女の子末森荊の物語。読み進めると新入部員に祐仁がいることが分かる。では公誓はどうなったのか? 第三話はその高校の男子バレー部の部長、第四話は再び祐仁の物語、そして……。
 祐仁や公誓のほか、身長163cmの熱血部長の小田、彼といいコンビをみせる冷静沈着&193cmの青木ら、少年たちがいい味を出している。ぶつかりあい支えあう姿に胸が熱くなり、柔らかさのある方言にはキュンとくる。そして試合のシーンは臨場感満点。
 私は祐仁の青臭いまでの精神的な弱さは他人事には思えなかった(小心なもので)。公誓の傍若無人ぶりもそうだが、特別な人間の特別な試練ではなく、読み手たちの内側にもあるかもしれないウィークポイントや心の傷がちゃんと描かれているところが好きだ。そして弱さをさらけ出すのではなく、強がりながら本当に強くなっていく姿がくすぐったい。女子がどうのというわけではないけれど、素直に「男の子たちっていいなあ!」と清々しく思える作品なのである。

(たきい・あさよ/フリーライター)
「青春と読書」2013年8月号掲載


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著者インタビュー どちらが負けてもせつなくて、どちらが勝っても嬉しい結末を天才セッター〈灰島公誓〉、発展途上のエース〈黒羽祐仁〉の一年生ふたりを擁する福井県清陰高校男子バレー部が、春高バレー全国大会出場を目指す──。シリーズ待望の新作『2.43 清陰高校男子バレー部 second season』が刊行されます。清陰チームの前に立ちはだかる県内絶対王者のライバル校の存在。その正体が描かれる第一話から、白熱の試合描写が重なる最終第四話へ。その制作の舞台裏をじっくり語っていただきました。最初はどちらが勝つか決めていなかった

――本作が画期的だと思うのは、第一話でクローズアップされるのが書名の〈清陰高校〉男子バレー部……ではなく、そのライバルである〈福蜂工業高校〉だということです。前作を読んでいる人も読んでいない人も初めて出会うことになる、このチームがとても魅力的なんですよね。この構成、このチームを作った理由を教えていただけますか。


 セカンドシーズンから読む人にもすんなり物語に入ってもらいたいな、と思ったんです。ファーストシーズンの続きからそのまま書くと、清陰がどんなチームなのかという説明をはしょってしまうことになります。
 福蜂を登場させてライバルの目線から書くことで、清陰ってどんなチームなのかを説明することもできる。なんというか、新規の読者さんも既存の読者さんもオールウエルカムな感じを狙いました(笑)。
 セカンドシーズンを書くに当たっては、公式戦をがっつり書きたいという気持ちもありました。その場合、ライバルチームにも魅力がないと試合は盛り上がらない。
 でも、ファーストシーズンで一冊かけて清陰のメンバーを掘り下げていったほどには、ページを割くことはできない。
短いページ数で魅力を伝えるためにはどうすればいいかを考えて、とにかくストレートにかっこいいことが伝わるようなチームにしなきゃなと。
 その結果できあがったのが、〈三村統〉というキャラクターであり、絶対エースである彼を中心にまとまる福蜂というチームでした。

――第一話が「極悪」なのは、福蜂の三村を陰で支える男子マネージャー〈越智光臣〉の視点で書かれていることなんですよ。彼のドラマを知ってしまった日には、ライバルの福蜂も応援せざるを得なくなるんです!

 清陰と福蜂、どっちも応援したくて困りますというご感想は、連載中にも結構いただいていました。どちらのチームにも、同じくらい感情移入してほしかったので、そういうご感想には密かにガッツポーズが出たり(笑)。「どっちも勝たせたい!」と思ってもらえるようなチームにしたかった。実をいうと第一話を書いていた時はまだ、最後の試合の結末を決めてなかったんです。私自身、どちらが勝つかわからない状態で書いていったほうが、読む人にとっても結末が予想できないだろうと……。

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みんなを応援したくなるような小説にしよう

――第一話でおもいきりライバル校への感情移入を焚き付けた後、いよいよ第二話で清陰の面々が登場します。第二話はどんな考え方でプロットを練られましたか?


 イメージとしては、「清陰・葛藤編」です。チームの体裁が整ったのがファーストシーズンだったので、そこからもっと高みを目指すための章になります。ファーストシーズンではただのモブキャラだった、〈内村直泰〉っていう平凡な選手が、第二話ではキーマンですね。普通の部員から見た灰島と黒羽、いわば「普通から見た天才」というのが第二話ではテーマのひとつでした。

――キャプテンである三年生〈小田伸一郎〉が抱える悩みもクローズアップされていますよね。自分は背が低い、と。

 彼の身長は163センチです。あの身長で全国で通用するのかという疑問は自然に出てくることですよね。取材で高校バレーのいろいろなチームを見ているのですが、背の高い選手が揃うチームなんてまれなので、「このメンバーしかいない」という中で、「どんなチームを作っていくか?」というのは学生スポーツならではの部分だと思います。

――灰島と黒羽は一年生ですが、小田は三年生ですから、一月に行われる次の春高で高校バレー人生を終える。灰島と黒羽は三年生のためにも勝って、少しでも長く一緒にバレーをしたいと願う。彼らの心の内のドラマも素敵でした。

 取材で行ったある年の夏のインターハイで、キャプテンだけが三年生で、他が下級生というチームがありました。二年生に背が高くてパワーがあるエースがいて、キャプテンは背は高くないんだけど、レシーブがうまくてすごく拾う。そのキャプテンが印象的で、小田の設定に重ねていったところはありました。いろいろな試合を見ながら、勝手に想像を膨らませているんですよ。「このチームにはきっとこういうドラマがあるんじゃないかな?」と。そうやって思いついたドラマを、小説の中に活かしているんです。

――清陰もいいチームですよね! 個々のキャラクターがしっかり立っていて、個々の葛藤がよく見えるぶん、応援したくなるチームです。

 ただ、清陰はあまりに問題を抱えすぎているので、最初からかっこいいチームとして作った福蜂に匹敵するチームにまとめあげるのがなかなか難しくて(苦笑)。第二話では全ての問題は解決しないまま、第四話に持ち越すことになりました。

――最終話である第四話について伺う前に。清陰高校の文化祭が描かれる第三話は、この物語全体のいいアクセントになっていますね。

 イメージは「清陰・日常編」です。ファーストシーズンの第二話で出てきた〈末森荊〉と〈棺野秋人〉、ふたりの話の続きです。

――荊の存在はすごく重要だと思います。女子バレー部員という視点から清陰男子バレー部を見つめることで、他の章ではできない描写が可能になっている。

 男子自身では語れない「男子バレーのかっこよさ」を女子の荊に語ってもらいたいと。特に高校バレーの男子と女子はかなり競技としての特性が違って、女子バレーってとにかく拾うんですよね。打って拾ってで、ラリーがどんどん続いていく性質があるんですが、男子のほうはラリーはそんなには続かない。スピードがありパワーも強いので、ネット上でボールを止められるかどうかが鍵なんです。日本では女子バレーのほうが今は人気がありますが、男子バレーにも女子バレーとは違う性質の面白さがあるんだよっていう私の気持ちを、荊に代弁してもらっていますね。

――荊は女子バレー部の補欠でもありますよね。天才だけではなく凡人のドラマも書き、マネージャーのドラマも書き……。

 高校バレーにまつわることはもう、全部書きたいです(笑)。

――「全部」? それはキャラクター描写に関しても同様なのではないでしょうか。読んでいると全員が主人公、という感じがするんですよ。

 そうですね。灰島がメインの主人公なんですけど、「みんなを応援したくなるような小説にしよう」というコンセプトは最初から持っていました。

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第一セットから全部、スコアブックを作っています

――第四話では春高バレー全国大会進出チームを決める、福井県大会の決勝が描かれます。「公式戦をがっつり書きたい」という気持ちがここで完全開放されています。セカンドシーズンで圧巻なのはやはり、この試合シーンです。そもそも「バレーボールを小説にする」という試み自体、本当にまれですよね。前作で初めて競技シーンを書いてみて、バレーボールを小説にする難しさを感じましたか?

 取材していくうちに書きたいことはたくさん溜まっていたし、とにかく私は競技としてのバレーボールが好きなので、競技を描写することより、その分量をどこまで抑えるか、のほうが難しかったんです。プレーの描写ばかりになると、読者を置いてきぼりにしてしまう。基本的には一試合、あるいは一セットで、キーとなるワンプレーかツープレーぐらいに留める、というバランスを意識しました。

――今回、セカンドシーズンの競技シーンはどんな意識で書かれましたか?

 ファーストシーズンの時のバランスを参考にしつつ、第四話は試合重視、バレー描写重視で書きました。もちろん一点ずつどう取っていったか、試合全部を書いていたらとても長くなってしまうので、決勝戦の前半はなるべく描写を抑えて抑えて……、終盤以降は一点ずつ書き込む、という感じです。それだけでもあのボリュームになってしまうんです。

――今ふっと気になったんですが、その場合、詳しい試合内容はどのあたりまで考えているものなんでしょうか。

 第一セットから全部、スコアブックに近いものを作って計算しながら書いていますね。

――本当ですか! それって小説には書かれていない部分なわけじゃないですか。書かれた文字の後ろには、作家の汗がそんなにも流れているんですね……。

 バレーという競技の面白さでもあり、書くうえで一番厄介なのはローテーション(サーブ権を取得した時に一チーム六人がポジション移動するルール)なんです。今、誰が前衛にいるのか、あるいは後衛にいるのかによって、成立するプレーが限られてくる。スコア何対何のときはローテーションはこうなっているから灰島はツーアタックは打てないとか、三村は後衛だからブロックにいないとか。ローテーションが間違ってちゃダメですからね。ローテーションの制約の中で試合展開を緻密に考えていくのは確かに大変だったんですけど、ぜんぜん苦ではなくて、書いている最中はずっと幸せを嚙み締めていました。だって、バレーのシーンを書くのって楽しくて仕方ないんですよ。

――試合終盤の展開は鳥肌ものでした。そして第一話を書いた時点では決めていなかったという、勝敗が決します。

 どちらのチームにも、全力を出し切って試合させたかった。どちらが負けてもせつなくて、どちらが勝っても嬉しい結末を目指しました。それと、最初からこれはちゃんと書きたいと決めていたのは、試合終了後の、負けたほうの物語だったんです。

――やっぱり「全部」を書きたい人なんですね! ラストシーンの爆発的な高揚感の余韻に浸っていたんですが、彼らの「その後」がとても気になります。本作が高校バレーの「全部」を書くプロジェクトならば、まだ書くことがありそうです。

 ぶっちゃけた話をすると、ファーストシーズンを出した時、続きを出せる保証はまったくいただいていなかったんです。幸いにも読者さんからの反響をいただけて、続きを書いていいよとGOサインが出ました。実は今の時点でサードシーズンの保証もいただいてないんですが、まだまだ書きたいことはいっぱいありますので、サードシーズンも実現できるように、たくさんの方に応援していただけると嬉しいです!

聞き手・構成=吉田大助
「青春と読書」2015年6月号掲載



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